第103章 恋した記憶、愛した事実《24》混合目線
そのあと、秀吉さんとあの娘の姉が広間から出てきて、秀和に授乳するからと広間を離れていき、俺も答えを考えていたが………
核心部分に靄がかかっているみたいで、しっかりとした答えは出なかった……。
「(……広間に戻るか…)」
酔いもだいぶ醒めたし、広間の襖を開けると………
「………っ…!?」
俺が目にしたのは……
あの娘の細い手首を掴み、反対の手で顎を持ち上げて、今にも口づけしそうなぐらい顔が近い信長様とあの娘の姿。
その姿を見て、どうしていいかわからずに固まってしまい、広間の入口から動けないでいた。
俺が広間に入ってきたのを、信長様は気づいていたのか、信長様は目だけを俺に向けると……
「っ…!!!!」
俺と目があった瞬間、ニヤリと意地悪く挑発してくるように笑い、さらに顎を持ち上げて、先ほどよりも近くなった二人の顔。
その瞬間、衝動的に動いた身体。
いつも以上に足を速めて、上座に行き………
「…………何してるんですか……」
言いながら、あの娘の華奢な肩に手かけ、身体を俺の方へと引っ張った。