第103章 恋した記憶、愛した事実《24》混合目線
そしてそれは見事に的中して…………
「ククク……そう拗ねるな、陽菜。まぁ、拗ねてる顔も可愛らしいぞ。」
……………イラ………
言いながら、あの娘に近づく光秀さんに、思いっきり睨む。
可愛らしい。と口にしている光秀さんが、本当にそう思っているかは知らないが、やたらと近いのが腹が立つ。
「(………近いんですけど……)」
不満の声を口には出さず、心中で言っていると、一瞬だけ光秀さんとまた目が合った。
そして次の瞬間、光秀さんはフッと笑って、あの娘の頭の上に手を置いた。
…………イラっ!!!
それを見た俺の顔は、自分でも自覚するぐらい、眉間に皺を寄せて光秀さんを睨み付けてるだろう。
「(何、気安く触ってんですか……)」
あの娘が誰かに触られているのが無性に嫌で、思わず注意しにいこうと、杯を御膳に置き、立ち上がろうとしたとき………
信長様に、酌をしろ。とあの娘に声がかかり、光秀さんも手を離すと、席を立って上座へと向かっていった。
それを見て、俺は起こしかけた腰を降ろし、杯に入っていた酒を一気に煽った。
いつの間にか、家臣たちは全員席に戻っていた。