第103章 恋した記憶、愛した事実《24》混合目線
《家康side》
広間から出て、特に向かう場所もなく闇雲に城内の廊下を歩き、ある程度広間から離れたところで立ち止まって壁に凭れると、重いため息を吐いた。
「…………なんなんだよ……あれは……」
さっきの信長様の行動、光秀さんの揶揄い、そして自分のとった行動に、苛立ちと驚きの感情が入り乱れる。
「(………俺は…………)」
あの娘の左肩を掴んでいた自分の左手を見て、なんでこうなったのかを、自分なりに整理する。
――――――
――――
「んー!美味しい!!」
頬に手をあて、本当に美味しそうに食べる表情に驚いて……次々といろんな料理をあの娘が嬉しそうに食べているのを見て、それがなんだか微笑ましくて……
「わっ!?童!?」
光秀さんと政宗さんに童呼ばわりされて、頬を膨らませたり、口を尖らせて二人を睨んでる姿には、確かに童みたいで……
だけど、あんなに感情を出している姿を初めて見たから、思わずあの娘をジッと見てたら……
パチッ!
あの娘の横に座る光秀さんと目が合った。
目が合った瞬間に、ニヤニヤと嫌な笑い方をして、瞬時に嫌な予感がした……。