第102章 恋した記憶、愛した事実《23》
「ののののの、信長様!!ちちちちち、近いですっ!!!///」
「当たり前だ。近付いているのだからな。」
なんでもないことのように言う信長様。
その顔は、いたずらっ子の顔だけでなく、どことなく艶も含まれている。
その表情に、いろんな意味で心臓がバクバクしている。
「(ど、どどどど、どうしたら!?)」
どうやったらこの状況を回避できるか、パニックになった頭で考えるが、考えてる間にも信長様の顔がゆっくりと近づいてきて、全くいい考えは浮かばずに焦っていると、まもなく鼻と鼻がぶつかりそうな距離にまで近づく。
「!?あああああああのっ………!?」
「煩いぞ。黙っておれ。」
「(そ、そんなーーーーーーーっ!!!?)」
抵抗もむなしく、さらに顎をクイッと持ち上げられ、信長様の顔が近づいてきて、どうしていいかわからず、ギュッと目をきつく閉じる。
信長様の吐息が少し唇にかかり、口もこれでもかというぐらい、きつく引き結んで、最後の抵抗とばかりに、顎を少し引こうとしたら
「…………何してるんですか……」
その声と同時に、体が後ろへと引っ張られた。