第102章 恋した記憶、愛した事実《23》
「ククク…しかし、なかなか面白い顔を見ることが出来たな。」
光秀さんが杯を傾けて、一気に流し込むと、意地悪い笑みを浮かべて笑っている。
杯を置いて、膳の上に置いていた銚子を傾けて、光秀さんの杯に注ぎながら尋ねる。
「………そんなに拗ねた顔が面白かったですか?」
未だにニヤニヤしている光秀さんに、また少し拗ねながら聞くと、光秀さんが、フッと笑って、頭の上にポンと手を置かれた。
「確かに、あの顔は面白いな。」
光秀さんの視線は、私とは違うところに向けながら話している。
どこを見ているのか光秀さんの視線の先を辿ろうとしたら……
「陽菜。こちらへ来て酌をしろ。」
上座に座る信長様から声がかかり、パッと視線を上座へと向ける。
信長様の横にはお姉ちゃんが座っていて、お姉ちゃんにも手招きされ、光秀さんにも行ってこい。と言われ、席を離れて、上座へと足を運んだ。