第102章 恋した記憶、愛した事実《23》
「ん~~♡美味しい~♡陽菜、政宗、すっごく美味しいよ!」
「良かった!いっぱい食べてね!」
「当たり前だろ。俺が作ったんだ。ほら、天ぷらも熱いうちに食え。」
「ありがとう!…………ん~♡天ぷらも美味しい!!」
熱々の天ぷらを食べ、本当に美味しそうな表情で、頬に手をあてているお姉ちゃん。
そして、その横で、秀和くんを抱っこしながら、お酒を飲んで、優しい表情でお姉ちゃんを見ている秀吉さん。
二人の表情に、自然と頬が緩んでいく。
「秀吉様、香菜様、この度は誠におめでとうございます!」
宴が始まってほどなくすると、お姉ちゃんと秀吉さんのところには、出産のお祝いを言うために、たくさんの家臣さんたちが列を並んでいた。
そして家康にも、怪我が治って喜んでいる家臣さんたちが、家康の周りを囲っている。
その様子を、光秀さんにお酌しながら見ていた。
「お前も飲むか?」
「え?あ、はい。いただきます。」
持っていたお銚子を光秀さんが私の手から取ると、杯に注いでもらい、それをチビチビと飲んでいく。
「陽菜、何か食いながら酒飲めよ。」
光秀さんとは反対側に座っている政宗に、ほら。と作ったおかずが入った鉢とお箸を渡され、受け取って口に運ぶ。
「んー!美味しい!!」
「当たり前だ。俺が作ったんだ……って、この会話香菜ともしたな。ほら、お前が作った玉子と鶏のやつも味が染みてて旨いぞ。あと、これも食え。」
「あ、本当だ。しっかり味が染みてる!上手く出来て良かった~。………あ、こっちも美味しい!」
政宗に渡されたおかずを、パクパク食べていると
「……まるで餌付けだな。」
光秀さんがポツリとこぼした声が耳に届いた。