第102章 恋した記憶、愛した事実《23》
ビシっ!!!
「痛っ!!!ちょっと!!何するの!」
政宗にデコピンされて、ジンジン痛むおでこを両手で抑えながら、政宗のことを睨む。
「お前がにやにやしてるからだ。……ったく…呆けてないで、ちゃんと見とけよ。」
注意だけすると、政宗は次の料理の準備のために、釜戸から離れていった。
「(……別にデコピンしなくてもいいのに…)」
まだ、ジンジン痛むおでこを数回擦ると、手を離して、もう一度、火傷をしていた場所を見る。
「(……確かに、手当てされたときのこと思い出してたけど、にやにやまでは……それに、あんまり家康と話せなかったし……)」
用がある。と言われたけど、その用も結局わかんなかったし……。
「(そういえば、政宗の用も、大した用じゃなかったな……)」
家康と政宗がどっちが手当てするかとなったとき、政宗も用がある。と言っていた。
手当てが終わって、厨に向かったら、政宗がプリンを作ってて……
―――………
『お前が言った通りにぷりんてやつを作ってみた。抹茶の味もあるって言ってたから、抹茶溶かして混ぜて作ったから、食ってみろ。』
『え?作ったの?』
『あぁ。お前が作ったのも旨かったが、これも、また違った味で楽しめたぞ。』
『あ、食べたんだ。ありがとう。じゃあ政宗の、いただきます。………美味しい!』
『そりゃ良かった。なら、これも宴に出すか。』
『うん!あ、そういえば、政宗の用ってなんだったの?』
『あ?……これ食わせるだけだ…』
―――……