第102章 恋した記憶、愛した事実《23》
「政宗、私そろそろプリン作り始めるね。量も多いし、冷やさないといけないから…」
「ん、わかった。俺もここが終わったら、そっち手伝ってやるよ。」
「うん。ありがとう。」
鯛を捌いている最中の政宗に声をかけて、プリン作りにとりかかる。
玉子を割って、砂糖と豆乳も混ぜたら二回程濾して、プリン液を作ると、それを二つに分ける。
そして、抹茶を濃いめに溶かし、溶かしたものを分けたプリン液の一つに、少しずつ混ぜていく。
火傷をして、家康に手当てをしてもらった後、厨に向かうと政宗が抹茶味のプリンを作っていて、それがすごく美味しかったから、今回の宴で、普通のものと抹茶味の二種類を作ることになった。
「(というか、作り方一回しか説明してないのに、すぐに作れるなんて、凄すぎるんだけど…)」
完成した二種類のプリン液を、おたまで器に入れながら、政宗の料理の腕前に脱帽する。
「陽菜、こっちは終わった。そっちはどうだ?」
「あ、お疲れ。こっちは、あとは器に入れて、蒸すだけだよ!」
「そうか。なら、蒸し終わった頃に、天ぷら揚げ始めたら、調度いい頃合だろうな。揚げたてが一番旨いしな。」
そう言いながら、ごく自然におたまを持って、プリン液を器に入れる作業を手伝ってくれる。
「あ、ありがとう。」
「気にすんな。」
お礼を言って、二人で大量の器に、プリン液を入れていく作業をした。