第101章 恋した記憶、愛した事実《22》
その姿を見て、少し申し訳ない気持ちになり、顔を俯ける。
「ごめんね……寝不足で疲れてるとこに、お邪魔して……」
秀吉さんに、お姉ちゃんの話し相手になってくれ。と言われて来たけど、やっぱり寝不足だからか、顔色も前と比べると少し疲れている。
休めるときは休んでほしいから、私が遊びに来なかったら、ゆっくり休めたんじゃないかな。と思う。
「何言ってるの。陽菜が来てくれて嬉しいよ。ありがとう。それに、女中さんが時々みていてくれるから、そのときはちゃんと休んでるから大丈夫よ。」
「そうなんだ……。」
「そうよ。だから、気にしないの。……あ、寝ちゃった。」
お腹いっぱいになったのか、秀和くんはまたスヤスヤと眠って、お姉ちゃんは起こさないように、そーっと褥に降ろした。
「それより……」
秀和くんを降ろすと、くるりとこっちに顔を向けたお姉ちゃん。
その表情は、少し怒っている。
「陽菜の方が顔色悪いわよ。秀吉さんから聞いたけど、朝から晩まで働いてるんでしょ?そんなことしてちゃ、疲れもとれないわよ。」
「……う…、はい……。昨日、秀吉さんからも注意されました…」
「……家康さんのことも聞いてる。…陽菜がすごく不安になっていることも……でも、だからって無理までして働くのは良くないわよ。身体が疲れると、心も疲れやすくなるから。」
怒っているというより、私のことを想って、言ってくれた言葉。
その言葉にコクンと頷くと、お姉ちゃんは、ふわりと優しく微笑んだ。