第101章 恋した記憶、愛した事実《22》
……あんたの、そういう悲しそうな顔…………。
俺は見たくない。
「(……家康……)」
そう言った家康の顔は……
私より辛そうで、悲しそうな顔をしていて………
その顔を見ていると、胸がギュウ…として、さらに苦しくなる………。
すると
「…………あんたは、そういう顔より…」
そう言うと、ゆっくりと家康の手が、私の頬を一撫でして……
「…………笑ってる顔の方がいい……」
手を滑らせて、涙が出ていないのに、指を軽く曲げて、涙を拭うように、目尻に軽く家康の指が触れると……
少し………
ほんの少しだけ………
家康の口もとが緩んだ。