第101章 恋した記憶、愛した事実《22》
「それじゃ、俺はもう行くから……」
「え?」
「なに?」
「え、えっと………」
もしかして、家康の用事ってこれのことだったのかな。
ついさっきの、部屋に入る前のやりとりを思い出す。
―――……
『…………俺がします。』
『……別にこれくらいなら、俺だって出来る。家康の用は終わったんだろ?俺はこのあともこいつに用があるからな。』
『…俺の方が手当てに慣れてますし、それに、……俺もこの娘に用があるんで……。』
『え…』
『だから、俺が手当てします。』
『………そうかよ』
……―――
政宗の言葉を聞いて、家康は政宗の手首から手を離したら、「手当ては家康にしてもらえ。」って政宗が私の肩を叩いて、廊下を歩いていった。
家康は、少し険しい顔をしてたけど、少しだけ安堵の表情も垣間見えた。
その表情を見て、もしかしたら話ができるのかな。って期待して、胸がドキドキしたけど………
「(違ったのかも……)」
本当に、様子見だけだったのかと思うと、先ほどのドキドキとは打ってかわって、チクン……と胸が痛む。