第101章 恋した記憶、愛した事実《22》
「簡単にしか聞いてないけど、掃除したあとに眩暈が起きたんだよね?顔色も悪いって秀吉さんが言ってたけど、朝から晩まで働きづめらしいし、なんでそんな無茶してまで働いてるわけ?」
「そ、それは……」
家康の包帯が外れた日に、家康の時間があるときに話をする。っていう約束が、まだ果たされなくて、話ができる時まで、手持無沙汰になっていたから、働いていました………
「(………なんて言えない!)」
でも、この手持無沙汰で、ずっと働きっぱなしでいたから、疲れとかが出て、秀吉さんや三成くん、政宗、
それに家康にも、迷惑をかけたのは事実。
正直に言うか、どうしようか悩んでいたら
「………まぁ、無理しない程度にやったら……。いい大人なんだし、自分の体調管理ぐらいは出来るでしょ…」
少し呆れたような声。だけど、その声のなかに、心配している気持ちが含まれているのが伝わってきた。
三成くんの言った通り、記憶は無くなっても、ふとしたときに出る家康の優しさは、私が知っている家康だった。
「……はい。これからは、気を付けます…」
「そうして。ただの過労だろうから、休んでたら大丈夫でしょ。薬は出さないけど、もし必要そうなら言って。作るから。」
「あ、ありがとう、ございます。」
事務的な内容だけど、久しぶりに家康と話せて、手持無沙汰で悩んでいた気持ちが、少し晴れる。