第101章 恋した記憶、愛した事実《22》
自分の部屋に入り、私は火傷の手当てをされているのを、大人しく見ている。
すると
…………きゅっ……
「……終わったよ…」
「あ、ありがとう、…ございます…」
包帯が巻き終わり、家康の手が私から離れ、家康はテキパキと使用した薬を、薬箱の中へと片付ける。
「(……家康の手つき…やっぱり優しいな……)」
手当てされた手を、反対側の手でそっと触れ、家康の優しさを噛み締める。
久しぶりに家康と会えた。
何か話せないかな。と思うものの……
「…………」
家康は、テキパキと片付けをしていて、話しかける隙がない。
「(……でも、せっかくのチャンスだし、何か話さないと…)」
何を話そうか、うーん。と考えていると
「……ねぇ…」
「っ…!な、なんですか!?」
家康から話しかけられたのが嬉しくて、すぐに顔をパッとあげる。
すると、家康は、少し驚いたのか目を見開いて、少しだけ息を飲むのが聞こえた。
それに、ハッとして、「すみません…」と、急いで頭を下げる。
「いや……それより、眩暈が起きたんだって?秀吉さんが心配してたけど……」
「え?あぁ、今日のこと聞いたんですね…?」
そう聞くと、家康はコクンと頷いた。