第100章 恋した記憶、愛した事実《21》家康side
「(光秀さんの言い方だと、俺もその忍を知ってるみたいな言い方だったな……)」
だけど、全く心当たりはない。
まぁ、光秀さんが、諜報のときにでも雇っている忍なんだろう。
「(とにかく、三日程、諜報で安土を離れるって言ってたから、その間は少しは平穏な日々を過ごせるだろうな。)」
忍のことは、もう深く考えず、平穏な日々を過ごせることに、安堵の息を少し吐きながら、廊下の角を曲がり、あの娘の部屋に向かっていると
「ねぇ!本当に大丈夫だって!!」
あの娘の声が、前方の廊下の方から聞こえるが、姿は見えない。
すると
「気にすんな。それぐらいなら俺でも出来る。……っと、よぉ。家康。」
前方の廊下の角から、政宗さんが現れて
「え?あっ……」
すぐに、あの娘も角から出てきて
「……っ…」
俺の視線は
政宗さんに掴まれている、あの娘の手元に向いていた