第100章 恋した記憶、愛した事実《21》家康side
「(光秀さん…素直に教えてくれたな。)」
あのあと、光秀さんの部屋に着くまで、何事も起きず、無事に部屋に辿り着いた。
頼まれた薬を渡し、あの娘の部屋を教えてもらうと
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『あぁ。あの小娘の部屋か。それなら……』
『……どうも。それ、揶揄ってないですよね?』
『流石の俺もこんなことまで揶揄う材料にしないぞ。この一週間、お前の面白い姿に充分楽しませてもらったからな。』
思い出したのか、にやにやと面白そうに笑う光秀さんに、思わず俺は苛つく。
『……やっぱり、揶揄ってただけなんですね……』
『何を言う。言っただろ?真逆の生活、つまり非日常なことが起これば刺激になって、記憶が戻るかもしれんと。』
『……そうですか。……にしても光秀さん。よくあんな悪戯思いつきますね。』
『あぁ…知り合いの忍に手伝ってもらったがな。ククク……』
『知り合いの忍?』
『おや?あいつのこともか?』
『は?あいつ?』
―――
一体誰の話をしているのか、詳しく聞こうと思ったが、光秀さんの家臣が来たため、一応用は済んだし、俺は光秀さんの部屋を退室した。