第11章 動き始めた恋心〈9〉家康side
「重症の人達を診に行くって言ってたから……家康がどう考えて判断するのか、側にいたら勉強になるかと思って……」
今までの陽菜の反応とかで少しばかり期待してたけど………
まぁ、勉強熱心な陽菜の性格を考えれば、そう言うよな……
それでも
「昨日いつか見せるって言ってたから、今見せてもらおうと思って……普段だったら、そんなに治療とかする機会があまりないと思うし………」
…たとえ勉強が理由でも
「…………」
「あ…迷惑だったら、今回はやめとく…」
一緒に居てほしいと思ってる
「別に迷惑とか言ってないから…陽菜の好きにすれば」
我ながらひどい天邪鬼な言い方だな…
そう言って俺は歩いていき
「うん!ありがとう!」
陽菜が後を追ってきた。
俺の治療を邪魔せず、陽菜はただただじっと見つめていた。
手当てを終え、救護兵達にいろいろ指示を出した後
「で。見てて勉強になったの?」
「も、もちろん!的確だし手際よすぎて驚いて…」
「陽菜も手際良いでしょ。政宗さんも誉めてたし」
政宗さんは、こういうことには冗談は言わないし…
「家康に比べたらいろいろとまだまだだよ……」
落ち込んでるのか陽菜は顔を俯かせた