第11章 動き始めた恋心〈9〉家康side
「ねぇ、家康、ちょっと待って…」
先程から陽菜は小走りで俺を追いかけているみたいだが、俺の足の速さが緩むことはない。
そのせいか、陽菜は必死で追いかけてる。
「(政宗さんの行動に嫉妬して、こんな態度とるとか…餓鬼じゃあるまいし……)」
少し速さを緩めようかと思ったとき…
「家康!待っ…わっ……!!」
陽菜の焦った声が聞こえ、振り返ると
小走りしたせいで足が縺れ転けそうになったところを
グイっ
トスン――
陽菜の腕をひっぱり、その反動で家康の体に倒れこむかたちになった。
「(咄嗟にひっぱったけど、ちょっとこの態勢は…//)」
家康も顔には出さないが内心焦っている
しかし出てくる言葉は
「あんたって意外とドジなんだね」
悪態をついてる
こういう時、秀吉さんや政宗さんなら
『大丈夫か?』
って心配してる言葉をかけるんだろうな……
「ああああありがとう」
お礼が吃ってる……
「でもドジじゃないよ!」
悪態をわざわざ反論……
「いや、何もないところで転けるってドジでしかないでしょ」
「あ!あれは家康が早歩きだから追いかけるのに必死で!」
「なんで…」
「え?」
「なんで追いかけてきたの?」