第100章 恋した記憶、愛した事実《21》家康side
ぱちっ!
こちらを見た光秀さんと目が合い、目が合った瞬間、光秀さんは不敵に笑って
「っ!?」
あの娘の腰に、手をまわしていた。
「(………何やってるんだよ…)」
思わず声が出そうになったのを堪え、思いっきり顔をしかめて、不機嫌なのを隠さずに、光秀さんを見る。
ここからじゃ、あの娘がどんな表情をしているのかが見えないが、少し慌てた様子。
光秀さんは面白そうに笑い、すぐに手を離して、あの娘の頭を数回撫でて、歩いて行った。
光秀さんに頭を撫でられた後、あの娘は頭に手を置き、首を傾げている。
「(………なんで頭も撫でてるんだよ…)」
光秀さんの一連の行動に苛つきながら、俺はあの娘から目を離し、広間に向かった。
「くくく………家康。なかなか面白い反応をしていたな。」
広間に着く前の、廊下の角を曲がったところで、光秀さんが待ち伏せしていたのか、腕を組んで壁に凭れかかっている。