第11章 動き始めた恋心〈9〉家康side
「陽菜、今日も出迎えしてくれたのか。ありがとな!」
「陽菜様に出迎えていただけるなんて、とても光栄なことですね!」
三成の言う通り陽菜が笑顔で出迎えてくれるのは嬉しいが、三成と同じ気持ちというのが気にくわない……
というか俺以外に笑顔を振りまかないでほしい…
「え!?そんなことないと思うけど…みんな怪我とかしてない?」
「あぁ。ここにいる奴等は皆大丈夫だ」
政宗さんは昨日と同じように陽菜の頭を撫でる。
なんで、いちいち撫でるんだよ……
好きを自覚した途端、陽菜に会ったら今まで通りの接し方が出来るのか考えてたが、それ以前にここまで嫉妬に駆られるとは思わなかった……
「……重症の奴等の様子見てきます…」
と、陽菜達の方を見ずに不貞腐れた言い方で救護用の天幕へ向かっていた。
「あ!私も行く。政宗、三成くん、お疲れ様!」
陽菜はパタパタと家康の後を小走りで追いかける。
「もしかして、家康に先手をうたれたか?」
「政宗様?何の話ですか?」
「いや。気にするな」
この二人の会話は陽菜と家康には聞こえていなかった。