第99章 恋した記憶、愛した事実《20》家康side
文とかのやり取りがないかを、畳んでいた文を広げては読み、また次のものを読む……
それを、ひたすら繰り返す。
「………全部、政務の内容か…」
引き出しに入っていたのは、全て武将や大名たちとのやり取りのものばかり。
「(期待しすぎたか……)」
自室に家具を置いてあるぐらいだ……。
この持ち主とは、密なやり取りがあったと思ったのだが……
大してやり取りなどは、してなかったのだろうか……
「はぁー……仕方ない……片付けて…着替えるか……」
重いため息を吐き、広げた文を全部畳んで、引き出しに仕舞う。
着替えるため、自身の箪笥の引き出しを開け、夜着を取り出したとき………
「??」
引き出しの端に、見覚えのない箱が一つ入っていた。
「(………こんなの俺、持ってたっけ……?)」
漆塗りされた四角い箱。大して深さはない。
なぜ、こんなのが、俺の箪笥に入っているのかが謎だ。
その箱を取り出し、文机のところまで持っていき、文机に置くが………
開けていいものか悩む。
いくら、自分の箪笥に入っていたとはいえ、見覚えのないもの。
だが、これ以外に、情報がわかりそうなものはない………。
悩んだ結果…………