第98章 恋した記憶、愛した事実《19》
そして、プリンが出来上がるまでの間、宴のときにどんな料理を作るかを、政宗と話し合う。
「祝い事だし、鯛はいるだろ……あとは大皿のやつを数品と……甘味も作るか。」
「ん~……なら、旬のお野菜を使った天ぷらとかは?あとは鳥があれば、ゆで玉子と一緒に甘辛く炊いたのとかも美味しいよね。」
「おっ。それ、なかなかいいじゃねーか。なら、あとは……」
二人でいろいろ案を出しあって、宴で出す料理をいくつかピックアップした。
「……よし、こんなもんだな。んで?そのぷりんってやつは、どれぐらいで出来るんだ?」
「あ、もうそろそろ出来るかな…?ちょっと見てみるね!」
そう言って鍋の蓋を取ると、むわ~っと熱い蒸気と、ほのかに甘い匂いが、鍋の中から一気に放出される。
蒸気が少し落ち着いて、鍋の中の器を見ると、液体状ではなく固まっている様子。
「へー……こんな風になるのか……」
覗いていた政宗も、鍋に入れる前と状態が違っているからか、驚いたような声。
「これで完成なのか?」
「あとは冷やしたら完成なんだ。でも、ちゃんと出来てるかは確認しとかないと……」
時計がまだない時代。10分15分などの時間を測るのが難しいから、お菓子作りをするときは、感覚でやらないといけない。
だからちゃんと出来ているか、一度食べてみないとわからない。
火傷しないように、布巾を持って、器を掴もうとする。