第97章 恋した記憶、愛した事実《18》家康side
『……お前がその態度なら、陽菜を俺の女にさせる。』
目覚めたときに言われた言葉……あのときは、なぜ俺にそんなことを?と不思議に思ったし、勝手にすればいいのにと思っていたが……
『早く思い出さねーと、本気で陽菜を落としにかかるからな』
さっきの政宗さんの言葉………今ではかなり胸が嫌な感じにざわつく……
「(……政宗さんが本気…)」
『……ありがとう…ございます。』
初めて手当てをしてもらったときに、手際がいいと言った言葉に対してなのか、お礼を言って小さく微笑んでいた表情……
『な、なんですかっ!!?』
聞きたいことがあると言ったとき、目を輝かせていた、嬉しそうな顔……
『は、はい!ありがとうございます!』
俺とまた話したいと言って、俺の時間があるときだけだと告げたときの、あの嬉しそうな優しい微笑み……
「(…あの顔が政宗さんへと向けられる……)」
………ドクン…!!
不安にかられるように、胸が一際大きく拍動した……