第94章 恋した記憶、愛した事実《15》
すると
「…何してんの……」
ビクぅぅっっ!!!
「~~っ……!?」
不意に後ろから声をかけられて、大きく肩が跳ねて、勢いよく顔を後ろへ振り向けると、たくさんの書物を手にしている家康。
「ああああああのっ!!しょっ、しょ食事を、ももも持ってきてっ!!」
咄嗟のことでかなり焦ってしまい、吃りながら身体も家康の方へ向けて、御膳を見せながら状況説明。
「…………あぁ……どうも……」
驚いた顔をした家康。だけど、吃っていることには、触れることも突っ込むこともしない。
「(……せめて突っ込むぐらいはしてほしかった…)」
変なところを見せてしまい、かなり恥ずかしくなって、頬に熱を帯びていくのが嫌でもわかり、思わず顔を俯ける。
「……そこに突っ立ってたら邪魔で、部屋に入れないんだけど」
「あっ!ごっ、ごめんなさいっ!」
家康の言葉で、熱を帯びていた頬は、一気に冷めていき、家康が部屋に入れるように、慌てて横に少し移動する。
家康は襖に手をかけて開くと、部屋に入っていく。
勝手に入るのも良くないし、どうしようか悩んでいると
「……何してるの。さっさと部屋に入れば。」
「えっ?……あ……失礼します……」
急いで、私も部屋へと入った。