第93章 恋した記憶、愛した事実《14》家康side
「よし。手当ても終わったし、飯だな。三成、陽菜、お前らも家康と一緒に食え。」
手当てが終わり、片付けも終わりそうなとき、政宗さんからの言葉に、俺は耳を疑った。
「……一緒に……?」
自分でも自覚しているぐらい、今の俺の顔は最高潮に不機嫌な顔をしている。もちろん声も、最高潮に不機嫌な声だ。
「あぁ。陽菜と三成も朝食ってねーみたいだからな。こいつらの分も作ってきた。」
「家康様とご一緒にお食事が出来て、私はとても嬉しいです!!」
「(………俺は嬉しくない…)」
三成の嬉しそうな姿に、俺はさらに苛つく。そして、俺の返事を聞かずに、重箱の蓋をあけて、食事の準備をしていく政宗さん。
「ほら。陽菜も食ってないなら、しっかり食っていけ。」
「…え……あ…うん……」
どうしていいか悩んでいたのか、秀吉さんに肩を叩かれ、ちょこんと座る陽菜。
政宗さんは、重箱に詰められているおかずをてきぱきと皿に盛り付けていき、それを俺らに渡していく。
「政宗様、ありがとうございます!」
「ありがとう、政宗。いただきます。」
「…………いただきます…」
三成が居るのはかなりの不満だが、俺たち三人は少し遅めの朝餉をいただいた。