第92章 恋した記憶、愛した事実《13》
政宗と三成くんと一緒に家康の部屋に向かって、三成くんが「失礼します」と声をかけて襖を開けると
「おう、おかえり。」
「……人増えてるし……」
私たちに片手を上げて、爽やかに声をかけた秀吉さん。私たちを見て、眉間に皺を寄せて、ボソっと呟いた家康。
片付けも終わって、褥も新しいものになってるし、家康も着替えを終えていた。
「んな嫌そうな顔すんな。飯作ってきてやったんだぞ。ほら、陽菜。家康の手当てしろ。飯が冷めちまう。」
「あ、うん……失礼します……」
桶を持って、家康の褥に近づいて、こぼさないように桶をそっと置く。昨日みたいに薬を取り出し、使いやすいようにセットして、手を清めて、家康の腕に巻かれている包帯を外していく。
「(……良かった……少しずつマシになってる…)」
ずぶ濡れで戻ってきた日の怪我の状態より、少しずつ良くなっていることに安堵する。
怪我の数は多いけど、怪我自体は、そこまでひどいものじゃないから、早くに完治出来そう。
「…薬、塗りますね……」
家康にひと声かけて薬を塗っていき、包帯を巻く。
腕、肩、背中、最後に頭の手当てをして、全ての手当てを終えた。