第10章 動き始めた恋心〈8〉
昨日の重症者達も、夜に家康が来て薬を少し変えたみたいで、痛みがだいぶ退いてきているらしい。
それを聞いて安心したし、改めて家康の判断力とかもすごいな。と思った。
たぶん、間近で見てたらかなり勉強できるんではないだろうか…
そう思っていると、野営地が騒がしくなり、前線に出ていた人達が帰ってきたようで、急いでお出迎えしにいった。
「三人とも、おかえり!」
「陽菜、今日も出迎えしてくれたのか。ありがとな!」
「陽菜様に出迎えていただけるなんて、とても光栄なことですね!」
「え!?そんなことないと思うけど…みんな怪我とかしてない?」
「あぁ。ここにいる奴等は皆大丈夫だ」
政宗に頭を撫でられる。
「そっか…良かった…」
怪我してなくて一安心した。
チラリと家康の方を見ると
「……重症の奴等の様子見てきます…」
と、こちらを見ずにすでに救護用の天幕へ向かっていた。
「あ!私も行く。政宗、三成くん、お疲れ様!」
パタパタと家康の後を小走りで追いかける。
陽菜が家康にため口になっているのを見て政宗は
「もしかして、家康に先手をうたれたか?」
と笑っていた
「政宗様?何の話ですか?」
「いや。気にするな」
と三成の肩をポンと叩いて歩いていった。