• テキストサイズ

イケメン戦国『あなたに夢中』

第88章 恋した記憶、愛した事実《9》


ポタ……



「っ…?……あ……」



薬箱の上に落ちた涙。
昨日のことを思い出していたら、自分でも気づかないうちに、涙が溜まっていたみたいで、頬を伝って静かに落ちていった。


すぐに、手でゴシゴシと目を擦って涙を拭う。




家康と恋仲になって一年……出会ってからは、もうすぐで一年半になる。

恋仲になるまで、いろいろあったし、恋仲になっても、いろんなことがあって、どれも大切な思い出だけど……


それを全て忘れられてるのは、正直かなりつらい。


特に祝言を挙げようって言ってくれた日は、二人にとって、とても大切な日になって………


だんだん考えが悪い方へと傾いていることにハッとする。




「(家康との祝言は保留になっただけで、破談になったわけじゃないし……)」


なんとか考えを、無理矢理にでも前向きな方向へと向けて、顔をあげる。



「すぅーー………、はぁーー………」



深呼吸を何度も繰り返して、気持ちを落ち着かしていく。




「(……大丈夫………大丈夫………)」



心の中で、何度も大丈夫と言いながら、震える足をなんとか出して……



家康の部屋まで、ゆっくり進んだ。

/ 663ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp