第87章 恋した記憶、愛した事実《8》家康side
『あんた……誰………?』
俺の言葉に、女は目を見開き、放心状態。
なんなら、秀吉さんと政宗さんも、ぽかんとしている。
「(間者?にしては、隙だらけだし……新しい女中か?それにしては身なりが……)」
女の素性がわかるまで警戒は解けない。
俺は、警戒を一切解かずに、その女を観察していると
「お前……何言ってんだ……?」
聞きなれた政宗さんの声。
その声に、ほんの少しだけ警戒を解く。
「……政宗さん、この女だれですか。…あんたの新しい女ですか。」
「家康っ…!私は……っ」
馴れ馴れしいな。さっきから、この女は……
「見ず知らずの女に、呼び捨てされる覚えはないんだけど。」
「…っ……」
冷めた目で、この女を見る。
すると、息を飲んだような音が聞こえ、とても傷ついた顔で俺を見る。
ズキッ………
その表情に、頭が一瞬痛む。
「っ……ご…ごめんな…さ、い……」
女は謝罪をすると、立ちあがり部屋から出ていき、
「っ!?…おいっ!陽菜っ!!」
秀吉さんも女を追いかけるように、部屋から出ていった。