第87章 恋した記憶、愛した事実《8》家康side
「家康っ!起きて……!」
「………………っ……ん…………」
さっきまで頭の中で聞こえていた声が、鮮明に聞こえ、意識が覚醒したのか、俺はゆっくり瞼を挙げていく。
「っ……!家康っ…!」
その声に反応して、ゆっくり声が聞こえた方まで、目を動かす。
「……っ!?」
「(なっ!?)」
見覚えのない女と目が合い、驚きに目が大きく見開き、勢いよく起き上がる。
ふと、手に温もりを感じて、自分の手元を見ると
目が合った女の両手で、しっかり握られている。
訳がわからず、その手をすぐに振り払った。
「い、家康っ?どうし……」
いきなり手を振り払われたことに女は驚いた様子。
女の後ろにいる、秀吉さんと政宗さんも、かなり驚いている。
だがそんなの俺にはどうでもいい。
気になることは
「あんた…………誰………?」
この女が何者かということ。