第86章 恋した記憶、愛した事実《7》
ピクッ
「っ!い、家康……?」
手の中で、家康の手が一瞬だけ反応した気がして、手を握ったまま、家康の顔を覗きこむ。
「陽菜?」
「もしかして!?」
政宗と秀吉さんも、私の後ろから、家康の顔を覗きこむ。
「家康っ!起きて……!」
「………………っ……ん…………」
家康の瞼が、ピクッと小さく動いて、ゆっくり瞼を挙げていく。
「っ……!家康っ…!」
私の声に反応して、ゆっくり目を動かして、私と目が合う
「(良かった………)」
嬉しくて、目に涙が溜まりはじめ、安堵の息をこぼしかけたとき
「……っ!?」
家康の目が大きく見開いて、勢いよく起き上がると、繋がれた手を見て
「……っ!?」
すぐに振り払われる。