第85章 恋した記憶、愛した事実《6》
バタバタバタ……!!!
廊下を走る音が聞こえ、その音で、秀和くんが泣きだした。
「あぁー……ビックリして起きちゃった……」
「一体、何事……」
スパンっ!!
「「っっ!!!」」
勢いよく開いた襖に、お姉ちゃんと二人で驚き、肩が跳ねる。
その音で、秀和くんは大号泣。急いでお姉ちゃんが抱っこした。
バッ!と襖の方へ顔を向けると、珍しく息を切らした秀吉さんの姿。
「はぁ……陽菜………はぁ…ここに居たか…」
「ど、どうしたの……?」
「秀吉さん。秀和、驚いて起きちゃったよ……」
「す、すまん…っ!それより、陽菜!!急いで城に来い!!」
「へ?なんで?わっ!?」
理由を聞こうとした瞬間、秀吉さんに肩をガシッ!と掴まれ、秀吉さんの顔を見ると、かなり焦った表情。
「ひ、秀吉さん…?」
「…さっき……家康が………戻ってきた……」
「え?そうなの?」
戻ってきてたなら、お出迎えすれば良かった。文とかが届いてないから、まさか今日戻ってくるとは思わなかったけど……
「でも、それならなんで秀吉さんは、そんなに焦ってるの?」
お姉ちゃんが秀吉さんに聞くと、秀吉さんは、かなり辛そうな顔をして……
「………家康が……大怪我をしている…」
え………
……大、怪我……?
その言葉に
頭がまっ白になる