第9章 動き始めた恋心〈7〉家康side
そう思っていたら―――
「陽菜、眠れないなら俺が添い寝してやる。なんなら、もっと疲れさせてやろうか?」
政宗さんがニヤリと口角を上げ
は?添い寝?
「でしたら私も陽菜様が眠れるように、枕元で何かお話しでもいたしましょう。」
三成が笑顔で陽菜を見て
は?枕元でお話だ?
「…あんたら何言ってんの…」
三成のバカはどうでもいいが、政宗さんは冗談と本気が合わさっているからか、その発言が無性に苛立たせる。
政宗さんの冗談なんていつものことなのに、陽菜に関わると、苛立つし冷静にいられない…俺以外、誰も陽菜に関わらないでほしい…………
って、え?俺…今何を………
陽菜はよくわからないという顔で二人の誘いを断り、もう少しだけここに居てると言うと
政宗さんと三成は、まだやることがあるからと、この場を去っていった。
俺もまだやることは残ってるんだけど、なんとなく陽菜を1人でここに残したくない。
陽菜が、俺はどうするのか聞いてきたから、後で負傷兵達の様子を診に行くことを伝えると、
「あ。じゃあ私も行きます」
「は?…あんた、俺達の話聞いてた?」
「聞いてましたけど……」
陽菜は負傷兵達の怪我の状況がどうも気になるらしい、それに俺の治療を見れば何か勉強になるかもしれないと……どこまで勉強熱心なんだ。
「駄目ですか?」
っ// 上目遣いで見ないでほしい……
「駄目」
「え~…」
頬を少し膨らませて、少し拗ねてる陽菜
その姿も、俺は目を奪われる
「治療はまたいつか見せるから…」
明日寝不足で症状を見落としたら困るから休むよう言うと、陽菜は納得して戻る気になった。
「天幕まで送るよ。あんたがまたこんなとこでフラフラしてたら困るし」
もっと素直な言い方は出来ないのか、俺は。
「う…ちゃんと休みます…家康さん達と話してたら気持ちも落ち着いてきましたし…」
「そう…」
自分の声がいつもと違う感じがした。たぶん気のせいではないだろう。
明日は早くに俺は出陣するからたぶん陽菜には会えない。
そう思うと天幕までの短い距離だが陽菜と過ごせるこの時間を大切にしながら送った。