第9章 動き始めた恋心〈7〉家康side
「おまえ、何やってんだ?」
政宗さんが声をかけると陽菜が振り返る
「あ。政宗、家康さんと三成くんも…」
「あんた、何やってんの」
「(なんで休んでないの?)」
「ちょっとね……三人はどうしたの?」
軍議が終わり自分達の天幕に戻ろうとしてたところだと話し、陽菜はなぜここにいるのか政宗さんが聞くと
「ちょっと眠れなくて…」
と申し訳なさそうに言う
かなり手当てに奔走してたみたいだし、体は疲れきってるはず。それでも眠れないってことは…
「もしかして、気が昂ってんじゃないの?」
「え?」
初めて出陣した兵達がそうなることが多く、体は疲弊してるのに気持ちが昂り、自分はまだ大丈夫だと勘違いしてしまう。
休めていないから、翌日は体の動きも悪くなり判断力も落ちてるため、咄嗟の行動が出来なくなること
を政宗さんと三成が説明した。
「…なるほど…」
「あとは戦場っていうのも眠れない理由なんじゃない。前線じゃなくても、ここに居てるのも多少は不安でしょ」
野営地にいてるから安全というわけではない。
今は勝ち戦になっているが、こちらが圧される可能性もある。そうなれば、ここも安全ではなくなる。
まぁ、そうならないように早急に終わらせよう。
陽菜にこんなところで不安になって眠るより、安土で安心して眠ってほしい。