第80章 恋した記憶、愛した事実《1》
スパンっ!!
「秀吉さん!」
「陽菜っ!!香菜はっ!?赤子はっ!?」
襖を開けた途端、秀吉に肩を掴まれ、ガクガクと前後に揺さぶられる陽菜。
「お、お、落ちつ……ひでよひは…」
「ちょっと、秀吉さん。陽菜を揺さぶらないで下さい。喋れてません。」
「あぁ…!す、すまん!」
家康に腕を掴まれて冷静になった秀吉。パッと手を離されると、揺さぶられていたから、陽菜は頭が少しクラクラしている。
「だ、大丈夫………。それより、秀吉さん!無事に産まれたよ!お姉ちゃん、秀吉さんに赤ちゃん見せたがってるよ!」
その言葉に、武将全員がワッ!と盛り上がる。
「秀吉!良かったな!」
「秀吉様!おめでとうございます!!」
「早く行ってあげたらどうですか。」
「秀吉の子か。世話焼きな子になるだろうな。」
「子のために、これからも俺に尽くせ。」
各々が秀吉に労いの言葉をかけてると、女中から部屋に入っていいと言われ、全員で入ると
「秀吉さん、皆さんも…。元気な男の子です。」
香菜の腕の中でスヤスヤ眠る男の子。
それを見て、秀吉の目から一筋の涙が零れた。