第9章 動き始めた恋心〈7〉家康side
家康・政宗・三成は明日の戦の策を立てていた。
「敵は総崩れの状態だ。この機を逃さずに一気に叩く。」
「そうですね。向こう側の援軍がもし近くまで来てたら、盛り返してくる可能性もあるし、その前に終わらせないと」
「援軍が来る前に、使うだろうと思われる橋を早急に落としましょう。
家康様の部隊がそちらに向かうのがいいかと思います。
仮にこちらの軍より、援軍の方が早く橋に向かっていた場合、弓部隊で攻撃し進軍を足止めし、それと同時に橋の崩落も行います。
橋が崩落すれば、数日前までの連日続いた雨で増水して渡ることも難しいはずですから、援軍は来られないでしょう。」
「橋が崩落後、家康様の部隊達も前線に戻ります。
明朝から橋に向かっていくのがいいかと思いますね。」
「わかった。」
今日の戦況を聞き、それを踏まえてすぐに策を立てる三成。さすがは織田軍の参謀だなと思う。まぁ、本人に絶対言わないが…
「家康様の部隊が抜けることで、前線の部隊が減りますから、全部隊だけでなく、少数は前線に残しておきましょう。
私の部隊も半分はこちらに残して半分は前線に向かうようにします。」
「よし。じゃあこのこと兵達に伝えにいくか。
今日暴れ足りない分、明日思う存分暴れるとするか。
家康が居ないから好き勝手しとくぞ」
「好きにしてください。俺も政宗さんの暴走を止めなくていいから、せいせいします。」
「前線に出れないからってそんな拗ねるな」
「全く拗ねてませんから」
「家康様は政宗様のことをとても心配なさってるのですね。やはりお優しい方です。」
「今のやり取りをどう見たらそうなるの、お前は」
「はい?見たままですが?」
「はぁ…もういいよ…」
軍議も終わり兵達に詳細などを伝えようと、三人が天幕を出たとき、陽菜が焚き火のところで座りこんでいるのが見えた。