第78章 天邪鬼との愛の料理 ※R18
「……だ、誰か……ぁ、来た、ら……んっ……」
「それぐらい、気配と足音でわかる。」
耳の縁に唇を触れさせたまま、家康が喋るから、それだけで身体がピクピクと跳ねあがる。
「……んんっ……ぃ、家康…はぁ……だ、め……っ…も、んっ……完成…しちゃ……」
そろそろ、煮物も完成するだろうし、家康が一生懸命作ったものを失敗させたくない。
だけど、家康は聞く耳を持たなくて、しまいに、腰にまわしていた手がお尻をさわさわと撫ではじめる。
これ以上されると、私がどうにかなっちゃうし、本当に煮物が失敗してしまう。それだけは絶対させたくないから
「…お、ねが、い…………あ、あとで………して……///」
滅多に自分から言わないおねだりの言葉。それを言った瞬間、家康からの愛撫がピタリ。と止み、緩くなった袷を直してくれる。
「は……は、はぁ……家康?」
やめてくれたのは助かったけど、あまりにも呆気なさすぎて、少し戸惑う。
顔を下から覗きこむと家康と目が合い、口角を少し上げて
「あとで、たっぷり……頂くから…」
艶を含んだ声で、恥ずかしい台詞を、耳元で話した。
お鍋を覗くと、煮汁もだいぶ無くなっていたから、火を止め、落し蓋をとると、美味しそうな匂いが、鼻孔をくすぐる。
「美味しそ~♪じゃあ、器に盛ろう!」
菜箸でお鍋から具材を取りだし、お皿に盛り付けていく家康の横顔を、チラッと盗み見る。
「(…真剣な顔……格好いいな…///)」
陽菜はやっぱり、見惚れていた。
そして、少し手こずりながらも、盛付けも一人でした家康。
「……出来たよ。」
家康手製の根菜の煮物が完成した。