第78章 天邪鬼との愛の料理 ※R18
「家康が作ったのを食べるの……贅沢だけど、なんだか勿体ないな……」
こういうときにスマホがあれば、あとで思い返せるように、写メいっぱい撮れるのに……戦国時代に戻ってきて数日後には、充電も無くなり、電源が入らなくなり、鞄の奥底で眠っている電子機器。
今ほど、電源がついて!と願ったことはない……。
「……別に俺が作ったのなんて、贅沢でも何でもないでしょ……」
「そんなことない!私からしたら、家康が一生懸命作ったものは、どんなご馳走よりも贅沢だよ!」
「……っ…そう…///。…冷めないうちに食べるよ……///」
家康にお箸を渡され、里芋を掴み、息を吹きかけ、「いただきます」と言って口に入れる。
「………っ!!」
「………どう…?」
家康の、少し不安げな声を聞きながら、里芋を飲み込む
「家康……。美味しいよ!」
「え……。本当に…?」
「うん!ホクホクしてるし、味もちゃんとついてるし!家康も食べてみて!」
家康もお箸で里芋を掴み、息を吹きかけてから口に入れる。
「………あ。本当だ…美味しい…。」
「でしょ!これなら政宗も、納得してくれるよ!」
「そうだといいけど……」
そう言いながら、いつもより頬が少し緩んでいる家康。箸も進んでいて、パクパクと煮物が家康の口に入っていく。私もパクパクと食べていく。
「あ、そうそう。煮物は少し冷ますと、より味が染み込むんだ!あとで冷めたやつも食べてみようよ。」
「そうなの?」
「うん。出来立ても勿論美味しいけど、染み込んだ煮物も美味しいよ!」
そう言うと家康は、少し考える素振りをして、私の顔を見ると
「じゃあ、冷めるまで、美味しく頂くよ。」
私の耳に、吐息をかけながら、話した。