第78章 天邪鬼との愛の料理 ※R18
「あ、家康。昆布浮いてきたから、昆布とって。……そしたら、鰹節を入れて……。菜箸で鰹節をほぐしながら押さえて……そうそう。煮たったら火を止めて、これを濾すの。」
陽菜の的確な指示を聞きながら、手を動かす。
器の上に綺麗な布巾を置くと、しばらくしたら、煮たってきたので、火を止め、鍋を持ち濾していく。
「熱いから気をつけてね。……お出汁が落ちなくなったら、布巾を包んで、菜箸で押さえて、お出汁を絞り出して……」
菜箸で出汁を粗方絞り出すと、陽菜がお玉で出汁を少しとり、小皿にいれると、俺に渡してきた。
「はい。味見してみて。熱いから少し冷ましてね。」
小皿を受けとり、息を数回吹きかけ、小皿に口をつけ出汁を飲む
「……美味しい…」
「でしょ♪これで煮物作ったら絶対美味しいよ!頑張ろうね!お出汁は少し冷まして、その間にお野菜切っちゃおう。」
野菜の下ごしらえが、途中で終わっていたのを再開させ、陽菜に教わりながら切っていく。
「えっと、面取りはこうやって角を薄く削り取るみたいにして……」
「………こう?」
「そうそう!家康、上手だね!刀の扱いに慣れてるからかな!」
「(陽菜の教え方が上手だから、なんとか出来てるだけな気がする)」
陽菜の切ったものに比べると、歪だったり、大きさが不揃いだけど、それに対して陽菜は怒らないし、「初めてなんて、そんなものだよ」と慰められた。
確かに、鍛練と同じでやり続けるうちに、上達していくんだろう。
陽菜も、初めて俺に料理を作ってくれたときより、作れるものが増えた。と喜んでいたし。
「ふぅ~…全部切れたね。じゃあ、煮込んでいくね。」