第8章 動き始めた恋心〈6〉
家康を見送った陽菜は天幕に入ると
「~~/////」
真っ赤な顔でヘナヘナと座りこんで
「なん…唇…指…」
震えながら自分の指を、さっき触られた唇にそっと触れる。
カァァァァ…///
茹でダコ状態だ
「家康ってあんなふうに笑うんだ…」
あまりの格好よさにドキドキが止まらない
「なんか戦場に来てから、家康の行動にドキドキしてばっかだ……心臓が慌ただしい……でも…」
もっと笑ってほしいし、それに、また一緒に勉強したい…家康のこともっと知りたい……
ふと気づく
「ちょっと待って…私…」
もしかして
「好きになった………?」
――――――
―――
思い返すと…
『この薬は…』
真剣に教えてくれて
『陽菜も頑張って』
励ましてくれて
『そっちのがいい』
初めて笑いかけてくれた
言い方とか態度はそっけないし冷たいし、厳しいし、天邪鬼なとこあるし、
でも努力家で
実はとっても優しい人…
そんな人を
「好きにならないのが無理だよ…」
自覚したら胸のドキドキはさらに増していき、眠るつもりで天幕に戻ったはずが、なかなか眠れずに夜を過ごしていた