第77章 姉と世話焼きの勘違い ※R18
秀吉は、家康から、しっかり香菜と話をするべきだ。と言われたことを胸に、香菜に問いかける。
「……家康から、香菜の状況を聞け。って言われたが、何かあったのか……?」
「えっ……あの、依頼されたのが一着完成した……けど……?」
「いや、そうじゃなくて……。まだ顔色も悪いが……お腹の調子はどうだ?」
「あ、さっき陽菜が食事を持ってきてくれたから、お腹いっぱいだよ。」
「は?」
「え?」
「「………」」
妙に噛み合わない会話に、秀吉は頭を悩ませる。
遠回しに聞いたのがいけなかったのか、香菜は何の話か理解していない。
香菜の肩を掴み、秀吉は落ち着いた声で話す。
「……香菜、何か大事なこと……隠してないか?」
「え?……それは……」
「なんでもいい。俺に話してくれ…。大事なこと、一人で抱え込むな。」
「でも、これは私の問題だし……」
「違う。問題でも何にもない。俺たち二人の幸せの証しだ。」
「へ?幸せの証し?」
香菜はキョトンとして、秀吉に聞き返すが、秀吉は熱く語り始める。
「そうだ。幸せの証しだ。今は体調もしんどいし、不安になりやすい時期なんだろ?そんなときに、俺を頼ってほしい。香菜一人で悩んでないで俺に話してくれ。」
「え?ち、ちょっと…」
「調べたけど、もう少しで体調も落ち着くらしいが……、それまでは、まだ辛いかもしれないが、俺に出来ることは何でも……」
「秀吉さん!!」
香菜の声に、秀吉は少し驚き、話を止める。
「なんだ?」
「秀吉さん、さっきから何の話をしてるの?」
「何って…腹の子の話だ。」
「お腹の子?誰のお腹の子?」
「誰って、香菜に決まってるだろ。香菜と俺の子だ。」
「…………」
秀吉の言葉に、ぽかーんと口をあける香菜。
すると、だんだん顔が赤くなり、秀吉の羽織をキュッと掴むと
「秀吉さん、私……
身籠ってないよ?」