第77章 姉と世話焼きの勘違い ※R18
翌日
「香菜!針仕事は駄目だと言っただろ。」
香菜の部屋に入ってすぐ、秀吉は針仕事をしている香菜に注意した。
「でも、これはもう納期が間もなくだし……。それに、家康さんがこれくらいならしていいって言ってくれたもん!薬も作ってくれたから、大丈夫だよ」
「家康が、そういうなら……でもあまり無理するな…」
「うん。ありがとう。依頼分が終わったら、少し休むから。秀吉さんも仕事戻って。ね?」
「……わかった。また、様子見に来るな。」
そう言って、香菜の頬にチュッと口づけ、秀吉は部屋を出る。
「はぁ……急がないと…」
一週間出来なかった分を、取り戻すように、香菜は一針、一針縫っていく。
顔色は……あまり良くないが……
「出来たっ…!」
夕刻に依頼されたものが、ひとつ完成する。
広げて、不備がないかを細かく確認し、不備も無かったため、綺麗に畳んで風呂敷で包む。
そのとき
「お姉ちゃん、入るよ。」
陽菜が声をかけてきて、襖が開くと、家康さんもいた。
「ご飯持ってきたよ。少し休憩しないと、それこそ倒れちゃう…」
お盆に、お握りとお味噌汁、小鉢が二品と漬け物が乗っていて、それを見た瞬間、お腹が鳴る。
「「「………」」」
「(恥ずかしいっ!///)」
妹だけならまだしも、妹の恋人にまで聞かれるとは……
家康さん、肩を震わせて、声を出すの必死に堪えてるし!!
「はい。お姉ちゃんの好きな鮭のお握りだよ!」
綺麗な三角形のお握りが乗ったお皿を、陽菜が渡してきたので、一旦反物を置いて、私は食事を摂ることにした。