第77章 姉と世話焼きの勘違い ※R18
数日後、重い足取りで、香菜は針子部屋へ向かう。
「(…今日も来なかったら、どうしよう……)」
お腹に手をあて、ため息を吐き、針子部屋の襖に手をかける。
「あ、香菜様!」
「おはようございます!香菜様!無事に届きましたよ!」
「え!本当ですか!?」
急いで、机に近づき、乗っているものを確認する。
「っ!?……良かった~~……」
ホッと安心して、へなへなと脱力する香菜に、針子仲間たちが、次々に声をかける。
「良かったですね!香菜様!」
「これで、作業が進みますね!」
「はい……。頑張りますね!」
今までの顔色の悪さも一気に吹き飛ぶぐらいに、元気になった香菜。
そのとき
スパンっ!!
勢いよく開いた襖の音に、全員がビクリ!と驚く。
一斉に襖の方を見ると
「香菜…ここに居たのか……」
「秀吉さんっ!?どうしたの?」
持っていたものを、急いで机に置き、秀吉さんに近づく。
「…顔色も悪い……大事な時期に…無理するな…」
「え!?どうして、それを……」
絶対に心配するからと、秀吉さんには内緒にしているし、陽菜にも口止めしている……
素直な陽菜は、お願いしたことは絶対に守る子だし……
「気づいてやれず、悪かった。ゆっくり休め。」
そう言うと、秀吉さんは私の膝裏に手をまわし、すぐに横抱きにする。
「えっ!?ちょっ…///秀吉さん!?」
「悪い。香菜は当分、針子作業は休ませる。落ち着くまで、お前達で頑張ってくれ。」
「「「「え……?」」」」
秀吉さんの言葉にキョトンとする針子仲間
「ひ、秀吉さん!何言って!?」
「とりあえず、部屋に連れていく。部屋でゆっくり休め。」
そう言って針子部屋から、私は追い出された。