第77章 姉と世話焼きの勘違い ※R18
バタバタバタバタ……!!!
「……………(煩い…)」
家康の部屋に近づいてくる大きな足音。あまりの大きさに、足音の主は、焦っている。または急いでいる。と推測。
どうせ、政宗さんが何か作ったから持ってきた。とかだろう。
それなら陽菜が「差し入れだよ!」とか言って、来てくれたらいいのに……現実は、陽菜がたてるパタパタと可愛い足音ではない……。
スパンっ!!!
と、小気味いい音をたてて開いた襖に、さすがの家康も驚き、襖をあけた主を見ると
「……はぁ、はぁ……家康、はぁ、話が…はぁ、ある……」
「……………」
「廊下を走るな」を常套句にしている秀吉さん。その本人が息を切らしている姿に、あまりいい話ではないと、瞬時に頭が理解した。
「……は?香菜が懐妊?」
「あぁ。間違いない。廊下で香菜と陽菜が話していたんだが、遅れてる、体調と顔色が悪い、俺に言わないで。極めつけに、家康、お前に薬を調合してもらう。と陽菜が言っていた。」
「……ちなみに、懐妊している心当りってあるんですか。」
「…なんで、そんなこと言わないといけねぇんだ。」
「わかりました。あるんですね。」
俺の話を一通り聞き、腕を組んで、顎に手をあて、考える家康。
「……もし、本当に懐妊していたら、そのうち悪阻とかが表れるはずですけど……」
「表れたらどうすればいいっ!?」
「……まぁ、無理しないようにとか、安静にさせとく…とかですかね……」
一通りの医術・薬学関係の本は読んでいる家康。
記憶にある懐妊したときの知識を、頭の中から引っ張り出す。
「わかった!!安静だな!!」
家康の言葉を聞いて秀吉は立ちあがり、安土城へと一目散に戻る。
「…………というか、香菜が本当に懐妊しているか確認するのが先ですけど……」
家康の言葉は、もちろん秀吉には届いていなかった。