第77章 姉と世話焼きの勘違い ※R18
ある夜……秀吉の御殿で
「……あっ……秀、吉さ……あぁっ…」
「……はっ……香菜っ……」
恋人同士の愛しあう声が秀吉の部屋に響きわたる。
「香菜!……くっ!」
「あっ……ああぁぁ!!」
二人は愛しあった後も、離れることなく、そのまま眠りについた。
その一月ぐらいが経った頃、秀吉が仕事の合間に愛しの恋人、香菜に会いに行こうと廊下を歩いていると………
「え?遅れてる!?」
廊下の角の向こう側から、陽菜の驚いた声が聞こえ、何事だ。と声をかけようとしたとき
「…そうなの……もう2週間ぐらい…どうしよう……」
恋人、香菜の焦った声に、秀吉は出かかった言葉を思わず飲み込む。
「うそ……お姉ちゃん大丈夫?秀吉さんに言った方が…」
「でも、秀吉さん、今すごく忙しいし…こんなことで時間取らせたくない……」
「でもっ!大事なことだよ!?」
「…そうだけど…体調崩してるだけかもしれないし…あと少しだけ様子を見てみるから……陽菜!お願い!秀吉さんには絶対言わないで!」
「…お姉ちゃん……わかった……。でも無理しないでね…顔色もあんまり良くないし…」
「うん…ごめんね……心配かけて…」
「ううん。あまりにもしんどかったら、家康に薬作ってもらえないか聞いてみるから、言ってね。」
「うん…ありがとう。陽菜」
スタスタスタスタ………
姉妹の廊下を歩く音がどんどん遠ざかり、聞こえなくなると、秀吉は今の会話を頭の中で整理する。
遅れてる、顔色悪い、俺には言えない、家康に薬の調合………
「も、もしかして………」
ひとつの解答が過った秀吉。来た道を引き返し、ある場所へと向かった。