第76章 お医者さんごっこ part2 家康side ※R18
「ほんとっ!?ありがとう!女医姿、一回してみたかったの♪まさか戦国時代で出来ると思わなかった。佐助くんに感謝だね!」
嬉しそうに笑いながら、俺の傍まで近づき、座る陽菜。その姿に頬が緩む。
白衣だけでこんなに喜ぶとは思わなかった。陽菜のこの笑顔が見れたなら、佐助が白衣を置いていったのも許せる気がする。
「…そう。……ケホ、良かったね。」
すると、陽菜がハッとして、よつん這いになって、俺の顔に顔を近づけ……
「(っ…陽菜からの…口づけ…!?///)」
いつも俺からするか、同時に唇が重なるかで、陽菜からしてもらったことは、俺の記憶ではない。
だんだん顔が近づいてきて、目を閉じようとしたとき
コツン
「………」
「……やっぱり熱いね…」
唇に温もりは来ず、代わりに額同士が触れあう。
陽菜はそれだけ言うとすぐに顔を離し、立ち上がって俺の薬棚へと足を進める。
「………(熱、確認しただけか…)」
口づけできず残念なような、陽菜に風邪がうつらないで安心したような……複雑な気分だ。
陽菜が薬棚から、いくつか小瓶を持ってきて、俺の症状を聞いてくる。
勉強は俺の部屋でするし、薬を見せながら勉強してるから、陽菜は俺の薬棚にあるものを大体把握している。持ってきたのも、全部風邪に効くものだった。
「熱と咳だったら……これかな…?」
「コホ、……うん。」
しっかり復習しているから、理解も早い。
ひとつの小瓶を置いて、他のものを直しにいき、またすぐ戻ってきた。
「家康、お粥食べれそう?何か口に入れてからじゃないとお薬飲めないし…」
「あ、そうだね……頂くよ……」
そう言うと、お粥をお椀に入れてくれる陽菜。着替えたりしている間に、お粥も少し冷めたからか、今は湯気も出ていない。
受け取ろうと手を出そうとしたら、陽菜は渡そうとせず、自分で匙を持って一口掬い、息をかけ
「はい。あーん」
俺の目の前に、お粥が乗った匙を差し出した。