第76章 お医者さんごっこ part2 家康side ※R18
「そっか……。佐助くんが勘違いってなんか珍しいな。家康が風邪って聞いて、私と一緒ですごい焦ったのかも。佐助くんは家康の大ファンだし。」
「コホっ……やめてよ……」
昨日もそういえば、よくわからない熱い視線を送ってきてたな……。
思い出すだけで、ぶるっと寒気が起きた。
「家康、寒い?羽織持ってくるから、ちょっと待ってて。」
陽菜が立ちあがり、俺の羽織を取りに行くのを目で追う。
「(なんか、謝る機会を逃したな……)」
チラリと陽菜が作ったお粥を見る。
ホカホカと湯気がたっていて、まん中に梅干しが乗っている。あまり食欲はないが、陽菜が作ったものなら食べれそうな気がする。
ぱさ…
肩に羽織を掛けられ、顔をあげると、陽菜と目が合う
「ねぇ、家康。なんで白衣が家康の御殿にあるの?」
「!!(…見つかった……)」
前回俺が着た白衣は、陽菜が佐助に翌日返したと言っていたから、俺の御殿にあるのが不思議なんだろう。女医の話はせずに、佐助が昨日持ってきたことだけを伝える。
さすがに、俺の御殿に白衣があって、佐助に現代の服を持っていけ。と言われたら、陽菜も女医のことに気づくだろう。
別にやましい気持ちはないが、なぜか言いにくい。というより、俺は陽菜に強く言ったことを謝りたいのに。
ジーっと白衣を見ている陽菜。するとパッと、嬉しそうに顔をあげ
「家康!ちょっと待っててね!」
持ってきた風呂敷包みを持って、続きの間に入り襖を閉めた。
すると
シュル、シュル……ぱさ……
「っ!?」
襖の向こうから、衣擦れの音が聞こえた。