第8章 動き始めた恋心〈6〉
「陽菜、眠れないなら俺が添い寝してやる。なんなら、もっと疲れさせてやろうか?」
政宗がニヤリと口角を上げ
「は?」
「でしたら私も陽菜様が眠れるように、枕元で何かお話しでもいたしましょう。」
三成くんがキラキラなエンジェルスマイルでこちらを見て
「へ?」
「…あんたら何言ってんの…」
家康さんはため息ついて呆れ顔
……なんかよくわかんないけど…
「政宗も三成くんもありがとう。でも添い寝もお話しも遠慮しとくね。
それに、やっぱりまだ眠れそうにないから、もう少しだけここに居とくよ。」
三人と話して少し気持ちは落ち着いたけど、やっぱりまだ眠気はこないかな…
「そうか?俺は兵達に明日のこと話さないといけないからもう行くが、ここに居てないで早く休めよ。」
「私も安土にいる信長様達に伝達の文を書きますので、これで失礼します。」
「そっか。二人ともお疲れ様。それとおやすみなさい」
「おう。」
「おやすみなさい、陽菜様」
政宗と三成くんは立ちあがり歩いていった。
「家康さんは?」
「……俺ももう少ししたら、負傷兵達の様子を診に行くよ」
「あ。じゃあ私も行きます」
「は?」
目を見開かれてかなり驚かれた。
「…あんた、俺達の話聞いてた?」
「聞いてましたけど、負傷した人達の怪我の状況はやっぱり気になるし、それに家康さんの治療する姿とか見たことないから、行けば勉強になるかなーと思って…駄目ですか?」
「駄目」
「え~…」
「治療はまたいつか見せるから、あんたは休みな。明日寝不足で症状とか見落としたら困るから。」
「それもそうですね…じゃあそろそろ戻ります。」
「天幕まで送るよ。あんたがまたこんなとこでフラフラしてたら困るし」
「う…ちゃんと休みます…家康さん達と話してたら気持ちも落ち着いてきましたし…」
「そう…」
家康さんの声がなんだか優しい感じがして、その声に胸が高鳴り、高鳴った胸のまま、天幕までの短い距離を送ってもらった。