第75章 お医者さんごっこ part1 ※R18
「あ、あのね!これには理由が…」
「ご安心を。俺は用事が終わればすぐに退散しますので。勉強の邪魔は一切しません。」
理由を話そうとすると、佐助くんが遮って話してくれる。
「陽菜さんのお願いを叶えていただきたい。」
「陽菜の?」
家康に見られ、コクコクと頷く。
「はい。叶えられるのは家康公、あなたしかいません。」
「………」
家康は黙ったままだけど、はぁ。とため息を吐いて
「入れば」
と言って、佐助くんも御殿の中に入れた。
「………まだかな~……」
今、私は家康の部屋の前に、佐助くんの用事が終わるのを待っている。
「(無理なお願いだったかな……)」
家康のさらに不機嫌な顔が思い浮かんで、たまらず苦笑いしてしまう。
昨日の夕方、家康に明日勉強する時間が取れると言われ、ウキウキしながら用意していたら、佐助くんが天井裏からやって来て、『あるもの』を見せてくれた。
それを見て嬉しくなり、佐助くんに明日家康の御殿に行くことを伝えると、「なら、手伝うよ」と言ってくれ、佐助くんと一緒に来たのだ。
しばらく待っていると、襖が開き、部屋から佐助くんが出てくる。
「陽菜さん。終わったから、俺はこれにてドロンさせてもらうよ。」
「あ!ありがとう!」
「気にしないで。じゃあ、またお茶でもしよう。今度は香菜さんも一緒に」
「うん!」
佐助くんが玄関の方へ歩いていくのを見送り、私は中にいる家康に声をかける。
「家康……入るね…」
そっと襖をあけて、中に入る