第71章 恋から愛へ《30》
「………それと…」
今までの話し方から、急に声のトーンが自信なさげに変わり、思わず声をかける。
「家康?どうしたの?」
「いや……ちょっと…」
「??」
珍しく歯切れの悪い家康。何か言いたいみたいだけど、なかなか話そうとしない。
「家康、無理に話そうとしなくてもいいよ?」
「いや、そう言うのじゃないんだけど…」
そう言うのじゃない…って…??
しばらく、家康の様子を見ていると、深く息を吸い、キュッと口を引き締めて、私と目を合わせる。
ドクンっ……
何か決意を決めたような家康の表情に、胸が高鳴る…というより、鷲掴みされたような感覚で、家康から、目が逸らせない。
家康の両手が私の両頬を挟み、家康は息を小さく吸うと……
「……これから先……何があっても、陽菜のことは俺が守る。だから俺と一緒に…歩んで生きてほしい。」
「…っ………」
家康の想いに、涙が目に溜まり始める。
「愛してる」
「っ!」
家康からの愛の言葉に、ポロっと涙が零れ落ち、すぐに家康の指が拭ってくれた。