第68章 恋から愛へ《27》
3人で声の方を向くと、
「信玄様、幸」
2人が近づいて、佐助くんの横に座る。
佐助くんが2人に私のことを紹介して、私に2人を紹介してくれ、私はペコリと頭を下げる。
「うん。君もお姉さんと同じくらい、可憐な姫だね。」
「また、始まった……」
ニコニコ顔で声をかけてきた信玄様に、呆れ顔の幸くん。
「信玄様、女なら誰彼構わず声かけるの、そろそろやめたらどうです?」
「何言ってるんだ幸。こんなに素敵なお嬢さんに声をかけない方が失礼だろ。幸も素敵な女性を見かけたら声をかけないと。勿体ない」
「信玄様、それは幸にとっては、難しいミッションです。」
「は?密書?」
「ミッション。指令という意味だ。」
「なら、最初からそう言え!」
「「………」」
3人のやり取りに、家康と呆然と見る。
家康は「馬鹿みたい…」と言って、おかずに大量に唐辛子をかけ、私は……
「佐助くんの言ってた通りだね!信玄様と佐助くんの幸くんいじり!」
「は?佐助!お前なに話したんだ!」
「事実しか言っていない。あとはズットモだと言うことぐらいだ。」
幸くんが激しく佐助くんの肩を揺らす。
佐助くんは眼鏡が外れないように、ブリッジを中指で押さえながら話す。
「はぁ…たくっ。おい、お前。俺の名前、呼びすてでいい。くん付けなんてされたら、なんか痒い。」
「え?でも…」
「陽菜さん、幸本人がこう言ってるし、呼びすてでいいと思うよ。」
「じゃあ、そこまで言うなら…。幸、これからもよろしくね!」
「おー。よろしくな。」
幸はニカッと笑い、暫く5人で雑談していた。
3人が違うところに行くと、私は家康にお酌しながら、いろんなことを聞いていた。
「家康、辛いもの好きなの?なんでも唐辛子かけてるけど」
「うん。なんで?」
「現代に戻ってたときに、佐助くん、家康のこと憧れてるからいろいろ聞かれたんだけど……私、家康の好きなこととかも何も知らなかったから……答えれなくて…。だから、家康のこと、いろいろ知りたいの…」
ギュッと家康の羽織の裾を握る。
家康はその上に手を重ねて、
「俺も、陽菜の好きなこととか、知らないから、いろいろ教えて。」
そう言って、優しく微笑んでくれた。